
マザーテレサほど神と共に生きた人はいません。
彼女が神から啓示を受けとったのはただの一度きりでしたが、
啓示を受けて以降、ずっと神に従って生きてきました。
死を待つだけの人々のために家を造り、
献身的な日々に人生を捧げました。
そんな、マザーテレサがいよいよ最後を迎えるというとき、
イエスが来るかもしれないと期待していたところ、現れたのは悪魔でした。
彼女はヴァチカンに依頼し
悪魔祓いを行いましたが、悪魔は立ち去りませんでした。
落胆し、落ちるところまで落ちた彼女ですが、
ふっと悟りがやってきます。
「私は、どんな病気にかかった人であろうが、
どんな状態の人であろうが、無条件に受け入れた。
たとえ患部から膿が出ていようが、
接吻して、看取ってきた。
そうか。
私が最後にハグ(抱きしめること)しなければならないのは、
悪魔かもしれない」
そうして、マザーテレサは悪魔とハグをしました。
すると悪魔は消えました。
そのあとにやってきたのは、本当の悟りでした。
「悪魔だと思っていたけれど、やってきたのは真逆の自分だったのね」
誰から見ても清く生き、権力やお金を忌み嫌っていた彼女は、
権力からの寄付を「そんなものは汚い」と受け取りを拒否したと言います。
それはやはり裁く自分がいたからです。
清く生きるということのなかに、
どこかに否定する自分がいたのです。
だから最後に反対側の自分がちゃんとやってきました。
それが自分には悪魔に見えたけれど、
ハグすることができて、本当の統合が起こりました。
そうして亡くなっていきました。
何が正しくて正しくないかを考えることは大事ですが、
光を求めれば求めるほど、
ないがしろにされるものが出てくるということも
意識しておいたほうが良いようです。
参照元:「時空を超えて生きる」kan.著